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グレートリフトバレーの湖群(ケニア)
2013年4月14日放送「THE 世界遺産」は、「フラミンゴが暮らす死の湖 ~ グレートリフトバレーの湖群(ケニア)」でした。
地球の裂け目に生まれた3つの湖
東アフリカのグレートリフトバレーに沿って並ぶ、ボゴリア湖・ナクル湖・エレメンタイタ湖
嘴を左右に振ってエサを獲る鳥
足で器用にエサを獲る鳥
首都ナイロビからクルマで2時間のボゴリア湖(Lake Bogoria 標高1000m)。
火山活動の影響から地下成分が水に溶け出し、強アルカリ性を帯びています。
リトマス試験紙を湖水につけると、真っ青に変わります。
強アルカリ性の湖では、魚も植物も溶けてしまいます。
ここは生命を溶かす湖です。
そんな湖にフラミンゴの群れがやってきます。
多いときは200万羽のフラミンゴの群れが飛来するといいます。
ボゴリア湖国立保護区公園長ウィリアム・キモソップさんの案内
間欠泉が点在し、数分ごとに熱湯を噴き上げています。
2011年11月頃のボゴリア湖では、9mもの高さの間欠泉が見られたそうですが、現在は水かさが増し、湖面の下に沈んでしまっていました。
グレートリフトバレーは大地溝帯と呼ばれ、約4000万年前、地下から湧き上がるマグマの活動によってできあがった大地の裂け目(巨大な谷)です。
その窪地にできた湖には、火山性の成分が溶け込んでいるそうです。
地殻活動が盛んなエリアであり、活火山であるレンガイ山などがそびえ、グレートリフトバレーは今もなお引き裂かれ続けているといいます。
南の谷底を目指すと、標高が下がり、気温は急上昇します。
摂氏40度を超える赤道直下の灼熱。
大地は渇き、熱風が吹き付けます。
標高200mの盆地。
マガディ湖の水はほとんどが蒸発しています。上空から見下ろすと一面に赤い地表が広がります。
上に降り立つと赤い塩。しょっぱいというより苦い味がするそうです。
水が干上がって剥き出しになった湖底は、ひび割れ、白い結晶に赤い色が混じったピンク色をしています。
塩や炭酸ナトリウムが厚さ40mも堆積しているといいます。
強アルカリ性の温水に、死の湖で生きる唯一の魚である、アルコラピア・グラハミが生息しています。
コフラミンゴの群れが求愛のダンスを踊っています。
マガディ湖に遊牧の民マサイの長老が湯治にやってきました。
足の治療のため、湖畔の温泉に毎日来ているそうです。
藻を削った道を歩いて、アルカリ成分が低い温泉に向かいます。
そこは弱アルカリ性で、美人の湯に近い泉質です。
行き帰りはバイクタクシーを利用しています。
ボゴリア湖にもコフラミンゴの群れの姿があります。
フラミンゴの脚は丈夫な鱗で覆われていて、湖水の強アルカリ性を防いでいます。
80度の熱湯が湧き出す先にはフラミンゴの水飲み場があります。
その水にはアルカリ成分はほとんど含まれていないので、彼らは安心して喉を潤すことができます。
全身を水にくぐらせるような動きをしているのは、フラミンゴたちの入浴です。
羽に付着したアルカリ成分が乾くとうまく飛べなくなるそうで、飛び立つ前に洗い流しているのだそうです。
コフラミンゴの羽をピンク色に染めたのは、彼らの食べ物です。
強アルカリ性の死の湖、その湖水は鮮やかな緑色に染まっています。
コフラミンゴの嘴は特殊な形状に進化したそうです。
彼らの食事は、長い首を曲げ、頭をでんぐり返しをするときのように逆さに水面に浸け、上の嘴をスプーンのように使い水中のスピルリナを掬い取ります。
上の嘴には櫛状に生えた突起があり、スピルリナを濾し取ることができるようになっています。
スピルリナは赤い色素の元となるベータカロテンやタンパク質などの栄養を含む、0.5mmほどの大きさの藻類です。
摂取したスピルリナに含まれるカロテンが、血液に乗って羽の先に行き渡ることで、フラミンゴたちの羽の色はピンク色に染まっていきます。
そのため若い幼鳥の羽は灰色をしています。
100万羽でおよそ60トンのスピルリナを消費するといわれ、スピルリナが少なくなると、また他の湖(エレメンタイタ湖、ナクル湖など)へと飛び立っていきます。
ボゴリア湖畔の樹の上に丸太が載っかっています。
これは養蜂の巣箱で、丸太の中はくり貫かれています。
周辺にはたくさんのアカシアの花が咲きます。
夜、丸太をこじ開け、煙で燻します。
蜂が大人しくなると蜂の巣を素手で取り出します。
土産物屋が軒を連ね、採取されたハチミツが販売されていました。
「何といってもピュア、取ってそのままを瓶詰めしている、混じりっ気なし」
1瓶200円ほどで、すっきりとした甘さ。
標高1700mのナクル湖は、涼しくて雨も多く、湖畔は緑の森に囲まれています。
湖の畔で体重2トンにもなる巨大なシロサイとばったり遭遇。
平べったい唇を器用に使って下草を食べています。
楽園に異変!消える200万羽
かつてフラミンゴの楽園と呼ばれたナクル湖でしたが、近年飛来するフラミンゴが激減しているそうです。
ナクル湖では現在、水位が上がり続けているのだといいます。
上流の森林伐採によって保水力が弱まったことで、湖に流れ込む水源は頻繁に氾濫するようになり、大量の水で溢れています。
こうして淡水が大量に流れ込むようになったことで、湖水のアルカリ性が薄まり、アルカリ性の環境を好むスピルリナが生育しなくなったのだそうで、スピルリナをエサとするコフラミンゴもやってこなくなったのでした。
水の性質が変わっただけで崩れていく、危ういバランスの上に成り立っている湖の生態系があります。
湖畔ではロスチャイルドキリンが好物のアカシアの新芽をトゲを避けて長い舌で絡め取るように食べています。
キリンの背中に留まったウシツツキが食事中で、彼らは動物の皮膚に付く寄生虫をエサにしている鳥なのだそうです。
キリンは気持ち良さそうです。
死の湖が真っ赤に命を輝かせていました。
アクセス:ケニア共和国
ケニア・グレートリフトバレーの湖群の生態系
大地溝帯(グレートリフトバレー)のケニアの湖水系(湖群)
Kenya Lake System in the Great Rift Valley
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2013年 7月 27日
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