シーオルガン:Zadar Sea Organ(クロアチア・ザダル)

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maguro

2013年8月31日放送「世界ふしぎ発見!」(第1286回)は、「祝!EU加盟 愛と勇気のハートフル・クロアチア」(ミステリーハンター:坂本三佳さん)でした。

 

 

紺碧のアドリア海(Adriatic Sea)に無数の島々が浮かんでいます。

今日の不思議の舞台はクロアチア(Croatia)です。アドリア海を挟んでイタリアと向かい合うクロアチアは、近年旅慣れた人たちに注目を浴びている国です。

特に海岸線は大人気です。アドリア海には1000以上の大小様々な形の島々が浮かび、それらの中には、上空から見るとハートの形をした島「ガレシュニャク島(Galešnjak)」もあります。綺麗なエメラルドグリーンの海がハート形の島の周囲をぐるっと縁取っています。このガレシュニャク島は以前も番組で紹介されて大評判となりました(テロップでは「2011年10月5日放送」とありましたがその日は水曜日なので・・・2011年12月3日放送「アドリア海の宝石巡り クロアチア青い海紀行」の回のことでしょうか??)。今回は島の開発のため更地にされている部分があり、左上から右下に向かって斜めに2枚の絆創膏がたすき掛けのように貼られているように見えます。

 


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2013年7月1日、クロアチアは28番目の加盟国としてEU(欧州連合)へ加盟を果たしました。

およそ20年前、旧ユーゴスラビアからの独立戦争(1991-1995年)では激しい戦闘が繰り広げられたクロアチアにとって、EUへの加盟は復興と平和のアピールであり、悲願でした。(「ヨーロッパの一員になった!」「夢が叶った!」2013年7月1日発刊 ベチェルニイ紙)

ミルコ・クロコップさん「私はミルコ・クロコップ、K1 & PRIDEのファイター」と流暢な日本語で自己紹介。クロアチアの元警察官で総合格闘家、38歳。キャッチフレーズは「戦慄のターミネーター」。何度も来日して、数々の死闘を繰り広げたその姿に、熱狂的なファンも多い。特に、2003年3月30日、勢いに乗っていたボブ・サップに勝利した一戦は、多くの日本人の記憶に残っています。(日刊スポーツ新聞社)

ミルコさん「彼は慎重2m、体重120kgあります」坂本さん「私なんて一吹きですね」ミルコさん「女性に暴力は振るいませんよ。クロアチアの男は強いですが女性には優しいんです。」

10代で戦争を経験したミルコさん「戦争から20年、EUへの加盟は私の誇りです。この国はますます発展していくでしょう。クロアチアには素晴らしい自然があり、人がいます。海岸の美しい街や世界遺産のプリトヴィツェにはぜひ行ってくださいね。」

独立戦争から20年、苦難を乗り越えてEU加盟を果たしたクロアチアは、エメラルドに輝く海や、愛らしいハート、手付かずの自然に溢れた美しい国で、旅慣れた大人のロマンチックな旅先としても注目を浴びています。

クロアチアと日本の国交も20年、日本人が大好きな魚、マグロも。

 

≪アドリア海リゾート 絶品マグロ≫

目の前に広がる蒼い海が気持ちいい。

アドリア海に面した街ザダル(Zadar)は夏真っ盛りです。

 


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ザダルには聖ドナト教会をはじめ、紀元前1世紀頃にこの地を支配した古代ローマの遺跡が数多く残されています。恥の塔には古代ローマ時代、罪人が吊り下げられたのだそうです。

クロアチアの歴史は苦難の歴史でもあります。古代から近代に至るまで、ギリシャ、ローマ、トルコ、ハンガリー、オーストリア、ヴェネツィアなどヨーロッパやアジアの様々な国に支配されてきました。それはこの地が非常に豊かな土地だったからともいわれています。

≪ニンの塩田≫

海沿いでは古代ローマ時代から変わらない製法で塩が作られています。

「塩の華(しおのはな)を採っているんだよ」

塩田の表面に浮かぶ塩の結晶は、まるで薄い氷の膜のようです。

試食した坂本さん「なんとなく甘い感じもしますね」

この塩の華に含まれるカルシウムやマグネシウムなどのミネラルが普通の塩に比べて6倍以上多く、値段は60倍という超高級品です。塩の華(Solana NIN Cvijet Soli Premium Adriatiq Sea salt)1kgで300クーナ(約5000円)、普通の塩(Solana NIN)1kgで5クーナ(約85円)

≪栄養たっぷりのザダルの海の泥の利用法≫

「体に泥を塗っているのよ。この泥を塗ると健康になるのよ。あなたも早くやりなさいよ。」

水着姿のご婦人グループが、全身に黒い泥を塗っています。

泥療法は古代ローマ時代から続くザダルの健康法だといいます。ミネラルたっぷりの泥を塗ることで内臓疾患やリウマチに効くほか、美肌効果もあるといいます。

坂本さんも早速体験。「泥がすごく滑らか。ホイップクリームみたいな感触。」

全身に泥を塗ったら日光でよく乾かします。

坂本さん「だんだん皮膚が、ぎゅうっと締め付けられている感じになってきました。」

泥が乾くと皮膚が引き締まり、血行がよくなるそうです。しばらくしたら海へ入り、泥を洗い落とします。

坂本さん「あれ、なんか肌がすべすべしてる!つるっとしてる」

ご婦人「そうよ、私なんか何十年も来てるからどうだいこの肌の艶。」

 

古代ローマ時代から栄えた街ザダルの名物は、日本人の大好きなクロマグロです。ザダルで水揚げされるクロマグロの多くは日本へ送られるのだそうです。クロマグロのいる場所へ案内してもらいました。

クロアチアは世界有数のクロマグロの輸出国です。クロアチアから日本へのクロマグロの輸出量は2300t(2011年)に及びます。その多くは畜養(ちくよう)マグロです。畜養とは10kg程度の天然マグロを40kg~50kgに成長するまで生け簀で育てること。

マグロ蓄養場を管理しているこの水産会社は日本、オーストラリア、クロアチアの合弁会社です。常に暖かいアドリア海はマグロの畜養に適しているのだといいます。

蓄養場の1つの生け簀の中にはクロマグロが1000匹も泳いでいるのだそうです。

マグロ水産会社「カリ・ツナ」のディーノ・ヴィドフさん「生け簀の中でおよそ1000匹のマグロが時速60kmで泳いでいます。マグロは常に泳がないと海中から酸素を取り入れられず窒息してしまいます。大量のエネルギーを使うのでたくさんのエサが必要で、毎日1匹あたり4kgのイワシを与えているんですよ。」

エサのイワシをスコップで掬って投げ込むと、にわかに海面がざわつき始めました。

ユニークなのはこの大きなマグロの捕まえ方です。

ディーノ・ヴィドフさん「12月、生け簀を狭めて捕まえやすくしておいてからツナボーイが水中でマグロの背中を首から抱えて捕獲します。」

クロアチア国営放送が撮影したツナ・ボーイの職人技は、まさにダイビングキャッチ、生け簀の水中でマグロに抱きついてそのまま抱きかかえるようにして一緒に泳ぎながら誘導していきます(HRT)。釣りキチ三平を思い出します。アドリア海の宝石とも喩えられるクロマグロは1匹で数十万円にもおよび、魚体に傷が付かないよう素手で捕まえるようになったといいます。さらに、スピードも大切だといいます。

ディーノ・ヴィドフさん「マグロを捕まえてから船に積み込んで冷凍するまでMax30秒ってとこだ。マグロの鮮度を保つためには暴れさせたりストレスを与えてはいけない。マグロは自らの血で身を焦がしてしまうんだ。」

魚類の多くは変温動物ですが、マグロは部分恒温動物で、常に泳ぎ続けられるように体の中心部分が30度前後に保たれていて、暴れると体温が急上昇して火傷するのだそうです。

主に冬に日本へ送られるクロアチアの畜養マグロですが、夏の時期でもマグロが食べられるお店があります。

シーフードレストラン「フォーシャ」(Riblji Restoran FOSA)

今朝水揚げされたばかりの天然キハダマグロがちょうどレストランに運び込まれました。

シェフのダミール・トムリヤノヴィッチさん「45kgってとこだね」早速シェフが大きなマグロを捌いていきます。天然マグロの漁は一本釣りで、入荷されてはじめてマグロ料理が食べられるのだそうです。

かつてクロアチアではトロも赤身も同じ値段でしたが、最近では日本人観光客の影響からか、トロの切り身が高値で取引されているそうです。

シェフが一切れ、中トロを分けてくれました。それを日本から持参した醤油とワサビで頂きます。坂本さん「程良く脂がのっていて、ほんとに新鮮。」

ヨーロッパの人々も絶賛するというザダルのマグロ料理。

マグロの刺身 タルタル風はパンに載せてオレンジジュースやオリーブオイルを混ぜた醤油ソースで頂きます。坂本さん「口の中でマグロがとろけます」

炭火で焼いたマグロのレアステーキ

坂本さん「マグロがとっても柔らかくて口の中でほろほろと解れていきます。」

 

ザダルのもう一つの名物は、アドリア海に沈む夕日です。空を赤く染めながら海へ落ちていく夕日を見ようと、多くの人々が海岸に集まってきました。

 

この地方の発明からクエスチョンです。

クロアチアには世界的に有名な発明家がたくさんいます。例えば、交流電流の父、ニコラ・テスラ(1856-1943年)。ボールペンや万年筆を発明したスラヴォリューブ・ペンカーラ(1871-1922年)。

さらにここアドリア海で誕生した17世紀の発明家、ファウスト・ヴランチッチ(1551-1617年)がいます。レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452-1519年)の素描から発想して作られた発明品は、イタリアで公開実験が行われた後に実用化されました。現在ではスポーツレクリエーションや救命などにも使われています。

 

【Question 1】
スポーツや救命にも使われる発明品は?
→パラシュート

草野仁さんの大ヒント「その他、軍事用には兵隊の移動などにも使用されます。」横の出水麻衣アナがかなりヒヤヒヤした顔をしています。

草野さん「パラグライダーは(野々村さんが)実際に放送でトライしたのを見たことがあります。」

野々村真さん「『見たことがある』ってね・・あれは、草野さんが『嫌だ』って言うから、僕が代わりにやったんじゃないですか!」

ヴランチッチが考案したパラシュートは1617年にイタリアで公開実験が行われ、見事成功し「飛ぶ人(Homo Volans(ホモ・ヴォランス))」と名付けられました。パラシュートは当初、見世物として人気を博していたそうです。

草野さん「パラシュートを使った遊びがパラグライダーなので、(野々村さんの「パラグライダー」も)オマケの正解!」

 

 

黒柳徹子さん「クロアチアには内戦が始まる前に一度、直後にもう一回行きました。」

小泉里子さん「ほんとにハートの島があって、街中にもハートがいっぱいあふれていた。」

 

≪伝統文化、そして豊かな自然を象徴するもの クロアチアが誇る二つの世界遺産とは≫

首都ザグレブ(Zagreb)もEU加盟によって大きな変化を迎えています。

通貨クーナ(Kuna)Hrvatska Narodna Banka が3年後にはユーロに変更されます。ちなみに、クーナとはテン(イタチ科)のこと。コインの絵柄にもテンが描かれています。かつてテンの毛皮が貨幣代わりだった頃の名残りだといいます。

2013年6月30日、EU加盟前夜祭が開催され、ザグレブの街は大盛り上がり。クロアチアのミュージシャンも集まり、賑やかな音楽が流れます。

男性「ヨーロッパ内の行き来が楽になったので、たくさんの人にクロアチアに来て欲しい。」

女性「EU加盟で経済が豊かになるのは歓迎ですが、クロアチアの伝統が無くならないか心配。」

クロアチアはここ数年、観光立国として注目され、2012年は過去最高の年間1180万人もの外国人観光客が訪れました。これは人口のおよそ3倍です。

しかし、様々な国に支配されてきた歴史を持つクロアチアでは、一方で自分たちの伝統文化を守りたいという機運があります。

 

マリヤ・ビストリツァ村(Marija Bistrica, Hrvatska)

真っ赤なハートの形をしたオーナメント「リツィタル(licitarsko srce)」はとても大切なものだといいます。

お土産屋 店主のブラスタ・フブリツキさん「このハートはリツィタルといって、男の子が女の子に愛の告白をする時に贈るお菓子です。付いている鏡はリツィタルをもらった女の子が自分の顔を映します。それは『あなたが私の心に映っています』という意味です。リツィタルはもともとクッキーだけど、砂糖で固めているから20年くらい持つのよ。400年の歴史がある伝統的なものだから世界遺産にもなったの。」

ハート型で鏡のついた伝統的なデザイン以外にも愛らしいモチーフがいっぱいです。どれも同じ製法で作られているものです。

リツィタル工房

リツィタルは小麦粉、砂糖、水を捏ねて焼き、2週間乾かしてから鮮やかに色付けした砂糖のコーティングを行い、乾燥させます。すると、食品でありながら保存状態が良ければ100年でも持つ工芸品となるのだそうです。

ヨーロッパを代表する家内制手工業の一つを保護しようと、2011年には無形文化遺産に登録されました。

じつはこのリツィタルがお土産品であるマリヤ・ビストリツァ村は、クロアチアの聖地です。マリヤ・ビストリツァ教会の黒いマリアは数々の奇跡を起こすといわれ、巡礼者が絶えません。黒いマリアと抱かれたキリストの胸には金色のハートが飾られています。彼らが身に付けたハートをモチーフにしたお土産品はいつしかクロアチアのシンボルとなっていきました。

坂本さん「リツィタルは可愛らしいだけではなく、永遠に変わらない愛や、強いハートを表しているんですね。」

 


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滝の音が聞こえてきました。

クロアチアを訪れた観光客が奇跡の風景を一目見ようと必ず訪れるのが、ザグレブから車で南へ1時間半、プリトヴィツェ湖群国立公園です。

プリトヴィチェ湖群国立公園(Plitvice Lakes National Park)は、最も高い標高639mのプロシュチャン湖から流れるプリトヴィチェ川の流れが、階段状に16の湖を作る珍しい景観を形成しています。

エメラルドグリーンの綺麗な湖が眼下に広がっています。

さらに近づくと湖水は素晴らしい透明度です。水中をたくさん泳いでいるチャブ(コイ科)の魚影もくっきりと見えます。湖面を泳ぐ鴨の足の動きもよく見えます。どうしてプリトヴィツェの湖水はこんなに透き通っているのでしょうか。

レンジャーのカティツァ・ポリャクさん「この周辺に降った雨や雪が山に浸透して地下水になり、濾過されてここへ流れてきます。その過程で山の石灰成分が水に溶けて湖に沈殿し、さらに水の透明度を高くしているのです。」

石灰には水中のゴミを固めて沈殿させる性質があり、こうして沈殿したものは石灰華(せっかいか)と呼ばれます。石灰のおかげで美しい水質が保たれている湖は、世界でもここプリトヴィツェと中国の九寨溝(きゅうさいこう(Jiuzhaigou Valley Scenic and Historic Interest Area))だけなのだそうです。

小さな滝がたくさん連なっています。プリトヴィツェには90以上もの滝があるといわれ、季節によってその数や姿が変わるのだそうです。16の湖、90以上もの滝が点在します。階段のように重なる湖を形作ったのも石灰質です。湖と湖が様々な滝で繋がり、その高低差は156m、全長は6km。

夏から秋にかけては観光客がもっとも多い季節で、トレッキングコースも人でいっぱいです。遊歩道も大渋滞。遊歩道を進むと目の前に見事な滝が現れました。最大の見どころでもあるプリトヴィツェ大滝(高さ78m)は公園内で一番高い滝です。

カティツァ・ポリャクさん「夏の水量はだいたいこんなものです。冬になると全部凍ってしまうんです。下の方まで全部凍って、湖と同じ、エメラルドグリーンの色になります。」秋には木々が紅葉します。秋には冬には冬の、秋には秋の楽しみ方があり観光客が絶えることがありません。凍結してエメラルドグリーンに染まった滝の姿も素敵です。

周りの観光客にどこから来たのか尋ねてみると、オランダ、ドイツ、ポーランド、アメリカなど、世界各国の名前が挙がりました。坂本さん「クロアチアが今本当に世界で注目されていることを肌で感じます」

小型カメラを搭載したラジコンヘリコプターである「ヒトシ君ヘリコプター」を使って湖上空を撮影する許可を貰いました。ヒトシ君ヘリコプターは公園上空をほんの少し飛んで無事に戻ってきました。空撮を近くで見守っていた観光客たちからは温かい拍手が湧きました。

 

首都ザグレブにある不思議な博物館からクエスチョン。

ユニークな展示品の数々は、本、帽子や洋服、旅行鞄、自転車、時計など、世界中のある同じ体験をした人たちが寄付した品々なのだそうです。

寄付した人たちの共通体験を名付けて●●博物館と呼ばれています。

 

【Question 2】
展示物を寄付した人の共通体験は?
→失恋

ケンドーコバヤシさん「出水さんにはありますか?」

草野さんのヒント「私の知る範囲ではあまりないかな・・・」

出水アナ「いやいやいや・・・」

草野さん「小泉さん自身には(失恋の)経験はありますか?」

小泉さん「私もほんとに辛い失恋があったんですよ」

野々村さん「え、小泉さんを捨てるような男がいるんですか?」

ケンドーコバヤシさん「あの時はどうもすみませんでした」(←ナイスフォローでした)

失恋博物館「Museum of Broken Relationships」の展示品には寄付した人の説明が書かれています。

未使用のガーターベルト
恋愛期間 2003年春-秋
場所 ボスニア・ヘルツェゴビナ サラエボ
使っていたらもっと長続きしたかも

100スウェーデンクローナ札(約1500円)
恋愛期間 2005.4.13-2007.10.21
場所 イタリア-スウェーデン
スウェーデン人の彼が「次に僕の国に来る時までとっておきなよ」とくれたけど、その次はありませんでした。

サイドミラー
恋愛期間 1983-1988
場所 クロアチア ザグレブ
彼は「フーリガンに壊された」って言ったけど、ほんとは浮気相手の家の前に彼の車があるのを見つけた私が壊しました。そして恋も終わりました。

どうして失恋博物館を作ったのでしょうか。

館長のオリンカ・ビシティッツァさん「誰もが物語を持っています。私も離婚の経験があり、それをきっかけにこのような博物館を作りました。人生には出会いも別れもありますからそれを他の人とも分かち合いたかったのです。日本からの寄付はまだありませんが、イギリスから252羽の折り鶴が届きました。日本人男性に失恋したイギリス人女性が彼に教わった折り鶴に気持ちを託したのでしょう。」

ちなみにこのミュージアムショップで一番人気の商品は、消しゴム「bad memories eraser」です。

坂本さん「悪い思い出は消し去りましょう」

失恋博物館では随時寄付募集中だそうです。

 

 

独立戦争でクロアチアの人々が守り抜いたものは何だったのでしょうか。

戦争の痛手から立ち直るためにしたことは何だったのでしょうか。

およそ20年前の旧ユーゴスラビアからの独立戦争からの復興プロジェクトの一環として造られたものがザダルの海岸にあります。

一見何の変哲もない港の普通の岸壁ですが、そこに開いた丸い穴から不思議な音が聞こえ、大きな波が来ると音色が大きくなります。

シーオルガン(Zadar Sea Organ)です。

シーオルガンは自然の力だけで鳴り響きます。岸壁の下に太さや長さの違う35本のパイプが埋設されていて、波や風の力によって幻想的な音楽が奏でられるように設計されています。

坂本さん「聖歌隊が歌っているようにも聞こえます」

破壊された街を復興するプロジェクトの一環としてシーオルガンを設計した建築家のニコラ・バシッチさん「最初からシーオルガンは教会のミサ曲を想定して考えました。自然が奏でる、つまり自然と人間とも対話ができる場所にすることが重要だと思ったのです。戦争では若者やたくさんの命が犠牲になりました。多くの人がこのシーオルガンの音楽にいつしか鎮魂の意味を重ねるようになったと聞きます。犠牲者の家族の心がこの音楽で少しでも安らぐことを願います。」

シーオルガンは海辺の遊歩道(Zadar’s Riva(seaside promenade))の北西の角、フェリー乗り場(the Ancona-Zadar ferry station)からすぐの場所にあります。

 


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屋外戦争博物館

戦争の記憶も徐々に薄れ、当時の武器も観光の一つになっています。戦争に実際に使われ、弾痕も生々しく残る様々な武器が屋外に展示されています。

取材のドライバーのドゥエ・ガーリッチさんがまだ傷跡が残る村を案内してくれました。「あれも爆破された家だ」

ドゥエさんが住む村の隣村です。

ドゥエさん「終戦後、戻ってこないセルビア人の家が、20年経ってもそのままになっているんだ。」

1991年から1995年、多民族国家だった旧ユーゴスラビアからの独立を目指すクロアチア紛争は、隣人同士だったクロアチア人とセルビア人との間に亀裂を生み、泥沼化しました。4年の戦争の末にクロアチアは独立を獲得しました。

ドゥエさんの村も壊滅的に破壊されましたが、20年経ち、暮らしはずいぶん良くなったといいます。

イスラム・ラテン村

ドゥエさんのご両親の家

マリッツァ・ガーリッチさん(83歳)は戦争中ドイツに出稼ぎに行き、家族を支え、家を建て直しました。誇らしげに家の中すべてを案内してくれます。「あんなに滅茶苦茶だった家に日本の女の子が訪ねてきてくれるなんて。本当に人生は何が起こるか分からないもんだね。」

食料庫

マリッツァさん「こっちには食べ物を置いているんだよ」

ドゥエさん「見てごらん、プロシュート(生ハム)だよ。ママが作ったんだ。ママは何でもやるんだよ。」

マリッツァさん「何が起こるか分からないから、自分で作って貯めておくのが一番だよ。」

ワインも手作りです。自家製ワインの貯蔵タンクがあります。普段は水で割って飲むのだそうです。

ひ孫たちと一緒に畑仕事やワイン作りをするのが一番の幸せだそうです。

マリッツァさん「人生にはどうしようもないこともあるけれど、今の幸せを神様に感謝しています。」

 

誰もが傷付きました。でもそんな彼らが何としても守ろうとしたものがあります。それがプリトヴィツェの自然でした。

プリトヴィツェはセルビアから海(ザダル)へのルート上に位置し、旧ユーゴスラビア連邦軍の補給基地にも近いため、戦争当初からセルビア武装勢力に占拠されてしまったのでした。(1991年3月31日)

プリトヴィツェ湖群国立公園の研究員クレイショ・チュリノヴィッチさん「毎日、空襲警報や砲弾の音が聞こえる中で、みんなが何とかこの公園を守りたいと考えていました。でもこの公園にもたくさんの戦車が入ってきて遊歩道や施設が壊されました。一度壊された自然はなかなか元に戻りません。そのため私たちの先輩はユネスコにプリトヴィツェを危機遺産に登録するよう訴えかけたのです。」

危機遺産とは戦争や環境破壊などによって脅威にさらされている世界遺産のことです。

クレイショ・チュリノヴィッチさん「危機遺産へ登録されたことにより、1992年国連保護軍が公園内に入り自然破壊は免れました。1995年8月に解放された時に私たちがまず真っ先にしたのは掃除でした。みんなが住む村はもちろん、プリトヴィツェも瓦礫やガラスの破片でいっぱいでした。だれもが必死で掃除をし、森を整備し、遊歩道を敷き代えました。私もその時学生でしたが手伝いましたよ。一刻も早く、ふるさとのプリトヴィツェを元の姿に戻したかったのです。」

みんなの努力によって、その後まもなく危機遺産から解除されました。そして今や年間120万人が訪れる自然の宝庫となったのでした。

 

夜空にEU加盟をお祝いする花火が上がっています。長く辛い道程を乗り越え、今クロアチアは新しい未来を作ろうとしています。

 

平和に役立つ研究からクエスチョン。

近年、クロアチアではミツバチを使ってあるものを探し出す研究が行われています。ミツバチの習性を利用したもので、EUも注目してバックアップしているのだそうです。

この研究が進めば、かつて戦火に見舞われたクロアチアや他の国でもより平和になると思われるものです。

 

【Question 3】
ミツバチの習性を利用して探し出すものは?
→地雷

研究はザグレブ大学農学部で行われています。

ネットで囲われたミツバチ訓練場の中へ入ると、巣箱の前にグラスが置いてあります。

ザグレブ大学農学部教授のニコラ・ケージッチさん「これはミツバチが地雷を探し出す訓練です。グラスには砂糖水、その下の土にはTNT(トリニトロトルエン)という地雷などに含まれる爆薬が混ぜられています。まず砂糖水で蜂を呼び寄せ、その下にあるTNTの臭いを覚えさせます。すると蜂は地雷の埋まっている場所を探し出し、そこに飛んでいくのです。」

2km先の匂いが分かるミツバチが持つ習性を利用すれば、いまだに国土に残る地雷を探し出せると期待されています。独立戦争中にクロアチア国内に埋められた地雷は推定9万個といわれ、その多くは除去されましたが、ミツバチはその最終確認の作業に役立つと考えられています。

地雷除去の様子

もし、プリトヴィツェが危機遺産にならなかったら、おそらくたくさんの地雷が埋められ、20年経った今もこの自然を見ることはできなかったかもしれません。

黒柳さん「ここ(クロアチア)だけじゃなくてアフガニスタンやアンゴラとか、私が行く国はほとんどがそうなんですけど、埋まっていても今までは大丈夫だったのに、雨が降ったりしてだんだんと地面が揺すれてある日突然、子供たちが歩いて学校へ行く道に出てきてそれを踏んじゃったとか、いまでもそういう地域はいっぱいあるんですよね。そういう地域に役立てて欲しい。」

 

柴田理恵さん、ケンドーコバヤシさんが、見事パーフェクト賞達成!

 

2014年4月27日:「愛と勇気のハートフル・クロアチア(2013年8月31日放送)」が、クロアチア政府観光局の2013年「ゴールデン・ペン・メディアアワード」を受賞。クロアチアを紹介した 世界のテレビ番組の中から、優良番組の一つに選ばれました。おめでとうございます!

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コメント

    • k-co
    • 投稿日 (Posted on):

    6月5日(金)~15日(月)は

    サステナブル・シーフード・ウィーク!

    世界の水産資源はいま その3割が枯渇した状態に、 およそ6割が限界まで利用されているといわれます。
    健全な状態にあるものは、わずか2割にも満たないのです。
    海の恵みを将来にわたって享受していくためには 自然が再生するスピードを考慮しながら 上手に利用していくことが欠かせません。
    その解決策のひとつが、環境に配慮した方法で 獲られた、あるいは養殖された水産物であることを示す 「MSC」マークと「ASC」マークで、消費者がひと目で見てわかるエコラベルです。
    そんな「サステナブル・シーフード」を広く知っていただくために WWFジャパンはMSC日本事務所とともに 「サステナブル・シーフード・ウィーク」を開催します! 期間は6月5日から15日まで。
    皆さんもぜひこの機会に、海のエコラベルを探してみてくださいね。

    • k-co
    • 投稿日 (Posted on):

    ISIL系組織、カイロで拉致のクロアチア人の殺害画像を公開
    2015年8月12日、エジプト東部シナイ半島を拠点とする、過激派組織「イスラム国」(IS: I siamic State)の「シナイ州」を名乗る組織は、カイロ郊外で拉致したクロアチア人の男性を殺害したとする画像をネット上に発表した。「人質の出身国はISに対する戦争に参加した」とするコメントをつけている。
    IS系組織がエジプトで外国人を誘拐し、殺害したのは初めて。エジプトには数百人の日本人を含む外国人が多数居住している。IS系組織による首都近郊での外国人誘拐・殺害事件は、外国企業の活動や観光産業への打撃となる可能性がある。
    人質の男性はフランス企業に勤めるトミスラフ・サロペク氏とされる。サロペク氏は7月22日朝、出勤途中に武装集団に拉致された。ISは今月5日にサロペク氏を人質としたとする動画を発表し、エジプトに収監されているすべてのイスラム教徒の女性を48時間以内に解放するよう要求していた。
    12日に発表した画像は、首を切断されたサロペク氏と見られる男性の遺体のそばにナイフが突きたてられ、ISの旗もある。「人質の政府とエジプト政府は猶予期間(48時間)を過ぎて人質を見捨てた」とコメントが書かれているという。

    • k-co
    • 投稿日 (Posted on):

    今からクロアチアに行きます!
    2015年8月31日香港発のフライトで アムステルダムを経由して、クロアチアのプーラに行きます。
    クロアチアは魔女の宅急便の街ドブロブニクが有名ですが、プーラはそこからもっとイタリアに近い場所にあります。
    魔女の宅急便のように、綺麗な屋根が並ぶ海沿いの街で、街の真ん中には、ローマにあるようなコロッセオの遺跡があります。
    紀元1世紀頃は、この街をローマ帝国が支配していたので、ここにもコロッセオが建てられたのです。
    そして、ここで何をするのかというのですが、このコロッセオの中と、その周辺で開催される、野外レイヴ(Rave) OUTLOOK FESTIVAL に参加してきます。OUTLOOK FESTIVALは、レゲエやダブやジャングルのアーティストが集まる祭典で、5日間にわたって、コロッセオや海や森や船で開催されます。
    私は学生時代、ジャングルがとても好きで、去年の TOMORROWLAND でも、メインステージではなく、SHY FX の DJに感激していたくらいですので、とても楽しみです。
    というわけで、またちょいとヨーロッパまで行ってくる次第です。
    地中海のいろんな場所を観察して、情報収集もして、より良いイベントを企画しようと思っています。
    ちなみに、週末にはミラノに飛び、ハイパーリッチな方々とハイパーVIP席からF1ミラノグランプリを観戦予定で、こちらも後日レポートいたします。

    • k-co
    • 投稿日 (Posted on):

    年末がジワリジワリと迫ってきました。
    まだ一つも大掃除に触れていない私にはプレッシャーでしかありません。
    大掃除なんてしなくてもいい世の中になれば良いのに・・
    そう思うのは私だけでないはず!
    とはいえ、掃除しないとね (^_^;)
    残り約2週間。あらゆる文明の利器使って頑張ってみせます。フガッ!

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