シュンドルボン(バングラデシュ)

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Mangrove

2013年1月27日放送「THE 世界遺産」は、「幻のトラがすむ巨大デルタ ~ シュンドルボン(バングラデシュ)」でした。

 

 

ヒマラヤ山脈に源流を持つ大河、ガンジス川が注ぎ込むのがベンガル湾。

ベンガル湾に面したガンジス川の河口に広がっている巨大なデルタ(三角州)地帯は、潮の満ち引きによって大きく表情を変える場所です。

そこに広がっているのが、世界最大のマングローブ林である「シュンドルボン」です。

シュンドルボンとはベンガル語で「美しい森」という意味なのだそうです。

 

 

デルタ地域の朝、マングローブの林が広がる汽水域をボートに乗って移動します。

ヒマラヤ山脈の雪解け水や雨期の降雨によってガンジス川が運んだ大量の土砂が堆積した場所で、デルタ地帯には大小無数の川が流れています。

チャバネコウハシショウビン(カワセミの仲間)
ミズオオトカゲが川でエサを獲っています。

一帯は海抜ゼロメートル地帯のため、潮の干満の6時間サイクルに合わせて、海にも陸にも表情を変えます。

 

 

潮が引くとマングローブの根っこが顔を出し、広大な干潟が出現します。

干潟は野生動物の宝庫です。

トビハゼは胸びれを使って泥の上を歩いたり飛び跳ねたりして移動することができます。

皮膚呼吸もできるそうです。

泥(の中の微生物)を食べています。

気性が荒く、出会い頭にほほを膨らませて相手を睨んで威嚇をしたり、噛み付いて喧嘩をしたりします。

泥の中に穴を掘って住処にしているシオマネキも泥の中の微生物を食べてエサにしているそうです。

 

 

ビードロカワウソがやってきて、潮が引いた川底の泥の穴に頭を突っ込んでエサを探します。

アクシスジカはマングローブの葉っぱが大好物です。

背伸びをするように後ろ足だけで直立し、口が届く限りの高さの枝にある葉っぱを食べるため、マングローブの葉が下から水平に苅り揃えられたように見えます。

 

 

伝統のカワウソ猟は、日本の鵜飼いに似ています。

鵜の代わりにカワウソの胴体に縄を着けて川に入れます。

川の中に網を広げ、長年飼い慣らされたカワウソたちに合図を送ると、カワウソたちは一斉に水中に潜って獲物を網の中に追い込みます。

網を上げると、ナマズやカニが入っていた。

漁の後、カワウソたちには小魚のご褒美が与えられます。

現在、カワウソ猟の受け継ぐ漁師はわずかなのだそうです。

 

 

シュンドルボンは野生が支配する世界です。

マングローブの森では、人々がベンガルトラに襲われないようにボノビビ(森の女神)に祈りを捧げます。

20世紀初めに4万頭だったベンガルトラの生息数は、毛皮目当ての乱獲などによってその数は2400頭まで減っているそうです。

シュンドルボンは彼らに残された最後の聖域でもあります。

現在、生息調査が行われています。

泥に足跡が残り、木の幹には縄張りを示す鋭い爪痕が残っています。

警戒心が強いベンガルトラの調査のため、動くものに反応して撮影されるカメラを設置して待つと、夜の森の中に姿を現しました。

ベンガルトラは夜行性で日没後から明け方、闇にまぎれてシカやイノシシを狩るそうです。

川岸の土手の泥にも足跡があり、爪痕もくっきり残っています。

潮が引いた川を泳いで横切っていったようです。

警戒しているときに出すといわれる低い鳴き声が聞こえてきました。

シカやイノシシが一斉に逃げ出すと、幻のトラ・ベンガルトラが現れました。

体重250kgにもなるベンガルトラは、子孫を残すギリギリの数、400頭ほどがシュンドルボンに生息しているそうです。

 

 

道もなくホテルもないシュンドルボンでは、クルーズ船が唯一の移動手段にして宿泊施設です。

食事は全て船の上です。

バングラデッシュのカレーはココナッツミルクとエビをたっぶり入れます。

右手で食べるのが作法です。

 

 

満潮時には内陸100キロまで海水が押し寄せ、海面の下に沈み込む。

そんな潮が引いた後に顔を出す干潟には、マングローブの根がまるで無数の剣山のように突き出して見えます。

横に張り出した根の途中で上に向かって枝分かれして直立しています。

干潟の泥の中には酸素が少ないため、マングローブは呼吸をするための”呼吸根”を持っていて、それを垂直に伸ばすのです。

呼吸根の断面は空気の通り道がスポンジ状になっていて、ここから大気中の酸素を取り込んでいるのだそうです。

呼吸根は柔らかいためアカゲザルの好物で、丁寧に泥を洗い流して食べています。

また海水で育つ植物ならではの特徴があり、マングローブは葉の表面から余分な塩分を排出します。

葉の裏にできた塩の結晶はサルにとってのご馳走です。

サルは葉っぱをむしり塩の粒をなめるだけで葉っぱ自体は食べずに枝から落とします。

落とした葉は地上にいるシカたちのご馳走になります。

なんだか、さるかに合戦の物語を思い出します。

 

 

普通の植物が生育できないような高い濃度の塩水に浸かっているため、一般的な植物のような種子では育ちません。

そのためマングローブの種は枝からぶら下がったサヤの中で育つ胎生種子で、母樹に種がくっついている時点で発芽させ、栄養を与えます。

ある程度成長した状態になってから枝から落下して、泥に刺さりそのまま根付いて成長したり、海面に浮いて別の場所へ運ばれていきます。

 

 

大河ガンジスと海が出会う美しい森、それがシュンドルボンです。

 

 

アクセス:バングラデシュ

シュンドルボン
The Sundarbans

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