アタカマ砂漠 Desierto de Atacama, Atakama

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アタカマといえば「アルマ望遠鏡」
宇宙で一番寒い場所、それは摂氏マイナス272度という原子運動が停止する寸前まで冷やされた極寒の世界、超低温の天体ブーメラン星雲(Boomerang Nebula)。南米チリのアタカマ(Atacama)州にある巨大電波望遠鏡「アルマ(Atacama Large Millimeter/submillimeter Array、ALMA)」が、新たにこのブーメラン星雲の姿を捉えたそうです。この星雲は地球から約5000光年離れたケンタウルス座(Centaurus)にあり、温度は、絶対零度から、わずか1度高いだけの1ケルビン(摂氏マイナス272度)で、ビッグバン(Big Bang)後の冷却し始めた頃の宇宙に放射された宇宙背景放射の温度よりも低いのだそうで、宇宙で最も低温の天体といわれます。ブーメラン星雲は比較的若い惑星状星雲で、寿命を迎えつつある太陽類似星の外層からイオン化ガスが放出されていることで外郭が輝いています。急速に拡大を続ける過程でエネルギーを使い果たし、その結果として引き起こされた冷却効果によって周囲よりも低い温度を保っているのだといいます。

アルマ望遠鏡は、北米、欧州、アジアの諸機関の協力でチリのアタカマ砂漠に設置されました。天体観測の妨げになる湿気や植生が、ほとんど存在しない海抜5000メートルの高地に建っています。

 

モリタアレイが「グッドデザイン金賞 (経済産業大臣賞)」を受賞
国立天文台が開発を担当したアルマ望遠鏡のモリタアレイが、2013年度グッドデザイン賞において「グッドデザイン金賞 (経済産業大臣賞)」を受賞し、その表彰式が12月5日に行われました。国立天文台の望遠鏡としては、過去にハワイのすばる望遠鏡が2000年度グッドデザイン金賞を受賞しています。モリタアレイは、16台(直径12メートル4台と直径7メートル12台)のパラボラアンテナと、それらの受信機と相関器から成るシステム「アタカマ・コンパクト・アレイ(Atacama Compact Array:ACA)として、計66台のパラボラアンテナから成るアルマ望遠鏡の一部を構成しています。「グッドデザイン賞」は、公益財団法人日本デザイン振興会が主催する、総合的なデザインの推奨制度で、社会の課題に対する取り組みとしての内容、将来に向けた提案性や完成度の高さなど、総合的な観点から、今年度もっとも優れていると評価されたデザインに贈られます。

アルマ望遠鏡 最後のアンテナが山頂施設に到着
66台のアンテナを配置し、宇宙からの微弱な電波を捉えるアルマ望遠鏡。その66台目、最後となる欧州製の直径12メートルのアンテナが、2014年6月13日に標高5000メートルの山頂施設に運ばれ、設置を完了しました。これで、アルマ望遠鏡を構成する66台全てのアンテナが山頂に揃ったことになります。66台のアンテナの内訳は、欧州製12メートルアンテナが25台、北米製12メートルアンテナが25台、そして日本製のアンテナが16台 (12メートル4台、7メー
トル12台) です。アルマ望遠鏡は、これらのアンテナを組み合わせた巨大電波望遠鏡として宇宙の謎に挑みます (注:数台のアンテナは標高2900メートルの山麓施設に一時的に移設されてメンテナンスを受けています。)。

「視力2000」を達成!史上最高解像度で惑星誕生の現場の撮影に成功
アルマ望遠鏡は、2014年10月24日に行った試験観測でこれまで最高の解像度を達成し、画期的な画像の撮影に成功しました。アルマ望遠鏡は、複数のパラボラアンテナを使って同時に天体を観測する「電波干渉計」で、アンテナの間隔を離すほど解像度が向上する特性を持ちます。今回、アルマ望遠鏡では、15キロメートルという過去最大のアンテナ展開範囲でおうし座方向にある若い星「おうし座HL星」を対象とする試験観測を行いました。その結果、0.035秒角 (角度の1度の約10万分の1) という史上最高の解像度で、この星を取り囲む塵の円盤を鮮明に捉えることに成功しました。この解像度は人間の視力に換算すると2000に相当し、ハッブル宇宙望遠鏡が達成できる典型的な解像度を上回ることになります。今回の試験観測で撮影されたおうし座HL星とその周囲の画像では、中心にある星の周りを何重もの同心円状の塵の円盤が囲んでいる様子がはっきりと描き出されています。また、この円盤の中にも何本かの間隙があることが見て取れ、これはまさにこの円盤の中で惑星が成長しつつある証拠だと考えられます。今後、アルマ望遠鏡によるこれまでにない高解像度の観測が可能となることで、惑星の誕生・成長過程の理解が飛躍的に進むことが期待されます。

「アルマ望遠鏡研究施設」の一般公開が始まる
2015年3月、アルマ望遠鏡研究施設(OSF)が、一般公開されることになりました。
ALMA Observatory has three main locations: Operations Support Facility (OSF), Array Operations Site (AOS) and Santiago Central Offices (SCO). (http://www.almaobservatory.org/en/about-alma/location)
** アルマ望遠鏡とは
チリ北部、サンペドロ・デ・アタカマの標高5,000mの高原で、日本を主導とする東アジア、北米、ヨーロッパ、チリの諸国が最高技術を駆使し協力して進めている国際プロジェクトです。
** アルマ(ALMA)とは、アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計の略称です。

今回公開されたのは標高2,900mにある OSF で、パラボラアンテナのメンテナンスの様子や、望遠鏡を制御するコントロールルーム、研究室やアンテナのトランスポーター(運搬台車)などの見学が可能です。見学は毎週土曜と日曜、1日40人を定員として行われます。見学ツアーのスケジュールは、朝9:00に サン・ペドロ・デ・アタカマ博物館(R. P. Gustavo Le Paige Archaeological Museum, Museo Arqueológico R.P. Gustavo Le Paige, Museo Arqueologico, Museo del Meteorito, San Pedro de Atacama) からアルマ望遠鏡施設の専用バスに乗車し、13:00頃に博物館へ戻ってくる行程です。

アルトゥーロ・メリノ・ベニテス国際空港(Aeropuerto Internacional Comodoro Arturo Merino Benítez, サンティアゴ国際空港,サンチアゴ国際空港)からのアクセス

一方、安全上の理由により、標高5,000mにあるアルマ望遠鏡の山頂施設(AOS)については、一般公開されておりません。
また、アタカマには天体観測が出来る施設があり、観測ツアーを実施しているホテルもあります。この地で天体を観てみたいという方には、このようなホテルもお勧めです。
なお、2015年9月28日には、ボリビア、チリなどで皆既月食を観ることが出来ます。
チチカカ湖近くのホテルにも天体観測が出来るホテルがあり、アルマ望遠鏡の施設を見学した後にチチカカ湖やウユニでの皆既月食を観るという行程もお勧めです。

2015年3月よりアルマ望遠鏡の山麓施設の一般見学(4歳以上の個人)が開始されました。見学が可能な山麓施設は、チリ北部の都市サンペドロ・デ・アタカマから 50 km 離れた標高 2900 m の場所にあります。ここでは、パラボラアンテナのメンテナンスの様子や、望遠鏡のコントロールルーム、アンテナを運搬するための台車トランスポーター等を見学することができます。見学は毎週土曜日と日曜日に行われ、ガイドによる解説 (注1) があります。見学には、所定のフォーム (注2) を用いた事前の申し込みが必要になります。お申し込みの前に、アルマ望遠鏡ウェブサイトの「アルマ望遠鏡一般見学」ページにある見学概要と見学に関する約款をよくお読みください。
注1:解説は英語とスペイン語です。日本語での解説はありません
注2:申し込みフォームは英語とスペイン語です。日本語解説が下記ウェブサイトに用意されていますので、これを参考にしながらお申し込みください

▽アルマ望遠鏡一般見学
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/aboutalma/visit/
アルマ望遠鏡の一般見学は、チリにある合同アルマ観測所にて行われています。一般見学の事前登録およびキャンセル待ちに関する問い合わせには、返答に数日から一週間程度の時間がかかる場合があります。あらかじめご了承ください。

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コメント

    • k-co
    • 投稿日 (Posted on):

    カルブコ火山(Calbuco volcano)の噴火により、チリ政府は4/23までに周辺地域の非常事態を宣言。また噴煙の影響により、火山最寄りの プエルトモン空港(PMC)に発着する全ての航空便が運休。地元メディアによると、約1万5千メートルの高さまで立ち上った火山灰は風に乗って周辺地域に拡散、隣国アルゼンチンにも到達したという。24日には約千キロ北に離れたチリの首都サンチアゴまで達する可能性もあるといい、両国南部では航空便の欠航が相次ぐ状態となった。噴火の勢いは弱まり始めたようですが、災害当局では、22〜23日にかけて起きた噴火に続き、新たな大規模噴火が起きる可能性があるとして警戒を呼び掛けている。23日昼時点で約4500人が避難生活を続けているという。

    • k-co
    • 投稿日 (Posted on):

    Explosión volcán calbuco
    https://youtu.be/_MdUQY6xQG4

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