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バリ島の棚田(インドネシア)
2013年3月3日放送「THE 世界遺産」は、「1000年つづく空中水田 ~ バリ島の棚田と水利システム(インドネシア)」でした。
バリ島は神々の住む島と呼ばれます。
神様を楽しませるため、毎日どこかで賑やかな祭りが繰り広げられています。
ケチャなどユニークな踊りがいっぱいです。
元は火山の島を美しい田園に変えたのは、網の目のように築かれた水路網でした。
お米は特別な食べ物です。
農家は皆、水の掟で結ばれています。
ガムランの調べにのせて毎日どこかで行列ができています。
頭の上にはお供え物を載せて運びます。
湧き水でできた神聖な泉では、一心に祈るうちにトランス状態になった男性が泣きわめき出しました。
バリ島は神秘の島。
アジア有数の米の産地となったのは、赤道直下の火山島を覆う水路網のおかげでした。
1600を超える水寺院には水の神様が祀られていて、平等に水を行き渡らせるため各農家は厳しい水の掟によって結ばれています。
ビーチやスパなど、アジア有数のリゾート地であるバリ島の海には、年間300万人の観光客が訪れます。
バリ島内陸にも魅力があり、それが標高1000m前後の高地には、山の斜面を埋め尽くす棚田の丘陵地帯で、まるで空中水田のような風景が広がっています。
バリ島の人々がいかにお米を大切にしているか。
寺院で祈りを捧げる時、感謝の印として額に米粒を付けて祈るそうです。
美しい棚田は人の手が産み出した自然の景観です。
平地が少ない環境で、山や谷を切り拓き耕作地を広げてきたのだそうです。
川の上流に取水堰を作り、そこから水路に水を引き込みます。
川を堰き止めて、水を一番高い場所へ引き込み、そこから水路を分岐させたのです。
起伏に富んだ山の中に、優れた水利システムによって、全てが手堀りの水路が作られてきました。
棚田に水を行き渡らせるために細い水路を分岐させ、網の目のように張り巡らせました。
今でも牛は大切な労働力ですが、機械がない時代、山の急斜面にも人一人が通れる位の小さなトンネルを人力だけで岩盤をくり貫いて作り、山の反対画にも水を行き渡らせたそうです。
トンネル水路は総延長190kmにもおよび、バトゥール山の上流から100mごとに30cm下がる僅かな傾斜を計算して水路が作られています。
また段差がある場合は竹の樋で水路を立体交差されることで、巧に水の流れを操っています。
パトゥール山の麓には溶岩が落ちています。バリ島は、元は荒れ果てた火山島でした。
バリ島の伝説では、稲は神様がくれた宝物です。
バリ島に稲作が伝わったのは、2000年以上前ともいわれます
赤米、黒米など、調理の仕方は、水に浸した米をザルに入れ、沸騰した鍋の上に置きます。
一度、火の通り加減を確認してお湯をかけた後、更に蒸し上げます。
赤米とアヒルの蒸し焼き料理
祝い御膳はターメリックで黄色く
黒米のココナツミルク煮
山麓にある寺院では、病を鎮め幸福をもたらすとされ、湧き水を頭から浴びます。
プールのような泉には参拝者の長い行列ができています。
ティルタ・ウンプル寺院の水には病を治す力があると信じられていて、島中から多くの人々が参拝に訪れています。
バリ島では水は特別な存在で、「水寺院」と呼ばれるそうです。
水は神様?
バトゥール湖(Danau Batur)は島のすべての水の源流とされます。
水路の分岐点に必ず水の神様を祀り、1600を超える水寺院があります。
ウルン・ダヌ・バトゥール寺院(バトゥール湖の湖畔)
メンゲニン寺院
グヌン・カウイ寺院
タマンアユン寺院
神様からの大切な贈り物である水は、水路の分かれ目に祀られた水寺院で浄められ、各水田に平等に分配されていきます。
ブシ・カルン寺院は棚田の中にある水寺院です。
棚田で何か問題が起こると水の神様に祈りを捧げます。
鳴り響く鈴の音は神様を呼ぶ合図です。
僧侶たちが祈りを捧げた後、聖なる水を竹筒に注いで問題のある田に向かいます。
水を神として崇めるヒンドゥー教とバリ島土着の信仰が溶け合ったのだそうです。
聖なる水は農家で分け合い、自分の棚田に注ぎ、五穀豊穣を祈ります。
バリ島は祭りと芸能の島です。
ケチャは、100人近い男性の集団が円形になって松明を囲み「チャッ!、チャッ!、チャッ!」と不思議なリズムで叫びながら行う伝統的な舞踊です。
“チャ”は、カエルの鳴き声を真似した音だそうです。
古くは魔除けの儀式であったそうです。
熱い炭を顔に黒々と塗りたくったり、燃えさかる松明の炎を素手掴みで投げ合ったり・・・。
トランス状態の中では熱さや痛みを感じないそうです。
男性がヤシの木に登り葉を切り落としています。
持ち帰った椰子の葉に細工を施すのは女性の仕事です。
お米の入れ物はまるで折り鶴のような形です。
乳房を持つ人型は稲の女神?
朝、農家の日課は寺院へのお供えから始まります。
バナナの葉に炊いたご飯を盛り付けると、自宅の庭にある祠に向かい、お供えをして祈りを捧げます。
どこの農家の庭にも祠があるといいます。
バリの人々は信仰心が厚いです。
スバックとは9世紀から継承されてきたバリの伝統的な水利組合です。
稲作農家にとって大切な集会には、同じ水路を共有して使う農家が集合します。
スバックの集会では必ず出欠席が記録され、3回欠席をすると水が止められます。
共同で水を管理し、水の問題があれば、みんなで協力し、助け合うのだそうです。
スバックは水路ごとに構成されていて、その数は1600も存在するそうです。
水路からの水の供給は、昔から「手の幅」を物差しにして取水口の幅が作られています。
片手の幅:1家族
両手の幅:2家族分
年2回の収穫期には、田んぼの一角に祀られた祠にデウィ・スリ(稲の女神)を招いて感謝の祈りを捧げます。
稲刈りの前の大切な儀式です。
稲の茎を竹の棒で一列に倒して、代々伝わる道具を使い、穂先だけを刈り取る伝統的な方法で収穫されます。
バリ島では、人間と神様と自然が、水で結ばれています。
トリ・ヒタ・カラナの哲学とは、サンスクリット語のトリ(数字の3)、ヒタ(安全、繁栄、喜び)、カラナ(理由)から構成され、神、人間、自然の調和をもたらす宇宙観を示す考え方であるといいます。
アクセス:インドネシア共和国
バリ州の文化的景観:トリ・ヒタ・カラナの哲学を表現したスバック・システム
(バリ島の棚田と水利システム)
Cultural Landscape of Bali Province: the Subak System as a Manifestation of theTri Hita Karana Philosophy
世界最大の群島国家インドネシアの地理空間情報局は2013年11月、島の総数を国連海洋法条約の定義に基づき数え直した結果、これまで定着していた数より4千以上少ない1万3466だったことを明らかにしました。同局は「高潮時に水没する砂地や岩礁を島と数えていた」と説明。島数の数え直しに合わせて無人島を含めた全ての島に名前を付けたそうです。地理空間情報局の担当者の話では「命名には全ての島が固有の領土であることを内外に示す意味がある」といいます。日本でも領海の範囲を決める根拠となる無人島の命名が進められています。
コメント
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以前、知り合いの稲作農家を 1年間通してお手伝いしていた時があったのですが、田植えからちょうど一か月くらい経った6月のこと。草取りのお手伝いに行こうと思ったら、向かっている途中に激しい雨が降ってきました。まだそれほど草が伸びていなかったので、結局その日の作業はお休みになったのですが、知り合いは一回、田んぼを見に行くということだったのでついていきました。すると、田んぼ自体の深さをチェックするのはもちろん用水路のあたりでも水の量をチェックしたりしていました。
「結局、雨が“いい感じ”に降らないとおいしい米はできないからね。」
今まであまり意識していなかった「恵みの雨」という言葉の意味を実感しました。
これから雨が増える時期ですが、今年も「恵みの雨」が“いい感じ”に降ってくれることを祈っています!
美味しいお米が育つためにも!
あなたはスクーバダイビングを知っていますか?
(空気のボンベを背負って、浮力を調整する器具を身に付け、10m~30m程の深さの水中に30分~1時間程度潜るスポーツです)