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マルペロ島(コロンビア)
2013年4月28日放送「THE 世界遺産」は、「サメが潜む海中洞窟 ~ マルペロ島の生物保護区(コロンビア)」でした。
サメやウミガメ、大小様々な魚たちがエサを求めて溢れている。
太平洋のオアシスに集まる豊かな生命。
ある日突然、なぜか体色の変わる不思議なフグ、彼らは水玉模様が鮮やかな黄色に変身するのだそうです。
シュモクザメの群れが悠々と泳ぎ回ります。
日本のテレビカメラが初めて取材。南米、赤道直下の太平洋に浮かぶ絶海の孤島に潜りました。
海底には洞窟が奥深くまで続きます。
火山が生んだ海洋生物の楽園です。
マルペロ島はコロンビアの沖合500km。
移動は一昼夜の船旅です。
更に南西にはガラパゴス諸島が浮かびます。
周辺は7つもの海流がぶつかって混じり合う海域で、大きくうねる荒波を生じさせています。
港を出てから24時間、海からそびえる剥き出しの巨大な岩のような姿。
海底火山の噴火によって誕生した島で、溶岩でできた島です。
ダイバーにとっては一度は潜ってみたい憧れの海。
ダイビングインストラクターのフリオ・ベレスさん「海流の影響でマルペロ島の周りには魚たちのエサがたっぷりあります。」
海流が激しく危険が伴うため、マルペロの海に潜るには、上級ライセンスがないと許可が下りないそうです。
そのため、マルペロの海にやって来るのは腕に覚えのあるダイバーばかり。
アカシュモクザメの大群が見られる海は滅多にないそうです。
ハンマーのような独特の形状をした頭部をしているシュモクザメ。
横に突き出た部分に目と鼻が付いています。
平たい頭部はレーダーのような役目を持っていて海底に隠れている獲物が出す微かな電気をキャッチするのだそうです。
細長く流線形の体をしたオオカマスの大群が小魚を追って右へ左へ泳ぐ様子は、優雅なダンスのようです。
プランクトンの多い豊かな海にはエサを求めて、海流に乗って様々な魚たちがやって来ます。
岩の間でエサを探すタイマイ。
細長く伸びた口でカイメンやホヤなどを食べます。
マダラトビエイ(イーグル・レイ)が大きな胸びれをはためかせ、まるで空を飛ぶようにゆったりと泳いでいきます。
海の中の大嵐。
突然の渦巻く海流。
魚たちの群れさえも翻弄する強い水のうねりがダイバーを押し流します。
海中の急流から見上げる海面付近には、逆巻く波しぶきによってもくもくと広がる水泡の雲。
マルペロ島は巨大な火山の先端が海面に突き出したものです。
海底からだと約4000mの高さがあるといいます。
深海を流れる冷たい海流が山にぶつかり、海底から山の裾野に沿って湧昇流(ゆうしょうりゅう)となって上ってきます。
その湧昇流が深海に溜まった栄養素を海面近くまで運んでくることで、魚たちのエサとなるプランクトンを大発生させるのだそうです。
キハダマグロの大群が回遊しています。
マルペロ島の存在が太平洋のオアシスを作り出しました。
ウィッパー・スナッパー(フエダイの仲間)の大群
周囲は広大な海洋保護区に指定されており、長年、漁が禁じられてきたことで、世界に希に見る楽園が生まれました。
貴重な海洋生物たちにとって最後の安全な生息地です。
海底に生息するウニの黒く長いトゲの間にはレザーバスの幼魚が隠れていました。
大人になるまでの住処です。
マルペロ島への旅は、12月から5月がベストシーズンです。
定員30名ほどの船で8日間を海の上で過ごす、充実のダイビングツアーがあります。
3度の食事は船の小さなキッチンで作ってくれます。
船を揺らす荒波は、鉄製の枠(安全柵)で支えられた野菜スープの鍋を程良く揺すっています。
魚のフライは港から運んできた冷凍ものを使います。
禁漁区なので魚釣りはできないからです。
みんなご機嫌、海の気分を満喫しています。
およそ2000万年前、噴き出した溶岩によってできたのがマルペロ島です。
不思議な形をした岸壁は、風や波が削りだしたものです。
島の周囲の断崖にはいくつもの洞窟が口を開けています。
切り立った断崖は海の中にも続いていて、海中断崖となっています。
深い海へと壁のように真っ直ぐ垂直に落ち込んでいく絶壁の光景。
崖を辿るとポッカリと空いた穴を発見。
そこを隠れ家にするのは・・・
海中洞窟の迷路のような地形は長い年月をかけ溶岩が浸食されてできたものだといいます。
左右に垂直の壁が迫る細い回廊。
絶壁や洞窟群など顕著な自然美の数々。
世界でも屈指のダイビングスポットと呼ばれる所以がここにもあります。
体の側面にブルーの4本ラインと黄色い尾ひれのヨスジフエダイの群れ
海底で静かに身を潜めていたネムリブカ(サメの仲間)の一軍が一斉に動き出しました。
ここにはうねるような強い海流が届かないため、居心地が良い場所なのです。
夜行性のネムリブカは獰猛なハンターで、夜になると狩りに出ます。
滅多なことでは人を襲いません。
ウツボが溶岩にできた隙間に身を潜めて近づく獲物を狙います。
ゴツゴツした海底の溶岩は多くの小魚たちの住処になっていて、窪みの中に身を潜めて肉食魚から身を守ります。
ギンポの仲間
ブラックチップ・カーディナルフィッシュ(テンジクダイの仲間)
多様な魚たちを育むゆりかごです。
コロンビアの沖合にあるもう一つの国立公園がゴルゴナ島で、世界遺産には登録されていませんがツアー客が必ず立ち寄る観光スポットです。
マルペロ島と違って大量の雨が降り、島は熱帯のジャングルに覆われています。
ゴルゴナ島は流刑地としての歴史を持ち、1985年に閉鎖された刑務所跡が残ります。
今ではすっかり緑に飲み込まれています。
深い森で珍しい稀少生物と遭遇。
コーラルブルーの体色をしたアオトカゲは、ゴルゴナ島の固有種で、長い尻尾を含めて体長は15センチほど。
この鮮やかなコーラルブルーは突然変異で生じたものなのだそうです。
小さくて数が少ないため滅多に見つけることができないそうです。
荒波に突き出した鉄製のブリッジから海面に向かって縄ばしごがぶら下がっています。
いよいよ決死の上陸です。
絶壁に囲まれたマルペロ島に上陸する手段はただ一つ、この揺れる縄ばしごを上るしかありません。
真下には荒波の海。
茶色く錆び付いたブリッジの階段は、まさに危険なシースルー。
足場の網が錆びて抜け落ちてしまった跡を、板を縄で括り付けてなんとか塞いでいるような状態になっています。
踏み抜いたようにポッカリと抜け落ちたまま枠だけになってしまっている段もあり、その隙間からは白い波しぶきを立てる海面が丸見えになっています。
普段この桟橋は島を管理する軍隊や公園スタッフしか利用しないそうです。
今回は特別な許可を得ての上陸です。
4万羽のカツオドリの繁殖地
岩場いっぱいに営巣しているのは、黄色い目、オレンジの嘴、黒く縁取られた顔、白い羽の先に黒い縁取り、緑色の足の、ナスカカツオドリです。
人間に危害を加えられたことがなく近寄っても逃げないそうです。
カツオドリは小魚が好物で、空を舞うと魚影目掛けて突撃します。
まだうまく飛ぶことができない幼鳥はブルーの嘴。
巣でお留守番。
餌を獲って帰ってきた親鳥からさっそく口移し。
すごい食欲です。
ナスカカツオドリのつがいは少しずつ離れて営巣します。
仲むつまじくお互いの毛づくろいをしています。
激しい縄張り争い
カツオドリには強い縄張り意識があり、余所者を徹底的に外に追い出します。
血だらけになることも。
ゴツゴツした溶岩の島マルペロの地面を一面に真っ白く覆っているのは、カツオドリたちのフンです。
アンギストカゲの仲間(固有種)はこのフンをエサにしているのだそうです。
赤い甲羅のオオガニの仲間(固有種)はカツオドリがこぼした魚の破片を食べています。
カツオドリが小魚を食べ、海の栄養分は島へと運ばれます。
岩場のフンが雨で海に流れ落ちると、それは海草やプランクトンの栄養源になります。
海と島が一つになって作り出す、生きものたちの楽園。
マルペロ島は、たくさんの命を輝かせる島です。
アクセス:コロンビア共和国
マルペロ島の生物保護区(マルペロ動植物保護区)
Malpelo Fauna and Flora Sanctuary
(2013年5月5日は放送休止です)
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