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グヌンムル国立公園(マレーシアのボルネオ島)
2013年5月26日放送「THE 世界遺産」は、「竜が飛ぶ“針の山” ~ グヌンムル国立公園(マレーシア)」でした。
赤道直下にある世界最古のボルネオの森で、岩場にぽっかりと空いた巨大な洞窟に垂直にロープを垂らし、地底の迷宮に下りていきます。
中に入ると暗闇の住人、300万匹のコウモリの大群がびっしりと眠っています。
彼らが一斉に飛び立つ姿は天に昇る竜のように見えます。
世界最古の熱帯雨林を残すのがボルネオ島(Malaysian Borneo)です。
断崖に鋭く尖った針の山を目指します。
鬱蒼としたジャングルにはユニークな生物たちがいっぱいです。
熱帯のボルネオ島(カリマンタン島)※の地下に広がる世界、その広大な空間の地底を流れる地下河川をボートに乗って下ります。※英語ではボルネオ島(Borneo Island)、インドネシア語ではカリマンタン島(Pulau Kalimantan)と呼ばれます。
暗い洞窟の中で流れに身を任せると東京ディズニーシーのアトラクション「シンドバッド・セブンヴォヤッジ」を思い出します。
闇を住処にするコウモリたちが黒い固まりとなって何匹も天井に張り付いています。
彼らは日暮れと共に森を目指して一斉に飛び立っていきます。
細長い固まりとなってうねりながら羽ばたく300万匹のコウモリの大群の姿は、まさに天空に昇る竜を彷彿とさせます。
≪雨が削った針の山へ≫
朝日と共に立ち上る霧を纏いながら標高2000mを超えるグヌン・ムル(=ムル山:グヌンGunungは現地語で山の意味)が黒くそびえ、原始の熱帯雨林がグヌンムル国立公園に広がっています。
山の岩肌が剥き出しになっています。
断崖の間には先がナイフのように尖った剣山のような岩石群があります。
大量に降る雨が作り出した造形です。
ジャングルを流れるダーク・カーキ色の川に架けられた細い吊り橋を渡り、撮影隊が進みます。
この森は1億年以上も昔から途切れること無く続いているそうです。
緑の葉に擬態するミスミコノハバッタ
枯れ葉に擬態するタイワンクツワムシ
ふさふさした細い毛のような形の白い花びらに擬態するカイガラムシ
花に擬態する理由は分かっていないそうです。
テングビワハゴロモ(ツノゼミ)の頭から角のような突起が細長く伸びています。
角の役割は不明ですが、先端の色は黄色、途中は白い小さな斑点が付いたピンク色をしていて、まるで天狗の鼻のように見えます。
緑の葉っぱのように見える半透明の羽には、黄緑色の斑点模様が付いています。
アピ山(標高1710m)の雲に隠れた峰に目指す「針の山」はあります。
まるで崖のように切り立った急斜面を登坂していきます。
激しいスコールで湿った足元も滑り易くなっています。
斜面では表面の土壌が流されて剥き出しの岩場になっています。
このような環境に適応したのがツボウツボカズラのような食虫植物で、彼らは捕らえた昆虫を栄養にします。
繊毛に覆われたベゴニア
岩場の表面を覆っている木の根っこを頼りに密林の山を登り続けます。
山に入って4時間、絶壁に梯子が吊り下がっていました。
岩に打ち込まれたハーケンに縛り付けられた手摺りを掴んで登ります。
剣山のように先端が鋭く尖った岩場「ビナクル(尖塔)」が目の前に姿を現しました。
尖った岩が無数に並んでいます。
どれも山肌からまるでナイフが生えてきたかのように鋭く尖った先端をしています。
岩が白いのは石灰岩だからです。
遙か昔、一帯は海でした。珊瑚礁などが海底に堆積して石灰岩となり、それが長い年月を経て隆起して今の山の姿になったのだそうです。
石灰岩は雨に溶けやすいので、次第に削られていきました。
断崖に生まれた奇跡のオブジェです。
≪原始の熱帯雨林≫
すべての始まりは雨です。
グヌンムルには年間6800mmの雨が降ります。
日本の4倍の雨量です。
雨の後、大地を包み込む霧、それが雲となって深い森の山肌を流れ落ちていきます。
滝のように見える瀑布雲です。
黒い森と白い雲のコントラストは水墨画の世界を彷彿とさせます。
夜明けは森が最も輝く時です。
雨の森は多様な植物を育んでいます。
ジャングルには高さ30mの木々が密生し葉を生い茂らせているため、地表にはほとんど日差しが届きません。
そんな環境に生育しているキノコの種類は8000種ともいわれています。
ホウライタケ
ウスベニコップタケの一種
クヌギタケ
キノコはカタツムリの好物です。
≪グヌンムルの森の空中散歩≫
人気のエコツアー「キャノピーウォーク」では、空中回廊からの森林浴が楽しめるそうです。
地上25mの高さで長く伸びた細い吊り橋は、木の幹から木の幹へと渡してあり、歩くたびに震動で揺れます。
日差しを浴びる森の上に光が満ちていて、地表とは違う景色が広がっています。
体長10cmのリス(ボルネオコビトリス)
木の小枝に擬態するナナフシ
シダ類の一種は背の高い木の枝に根を下ろしています。
木の幹に根を張っている野生のラン
この森には170種ほどのランの花が生育しているそうです。
太古の森を見下ろす贅沢な森林浴が味わえますが、高所恐怖症の人は注意が必要です。
≪森の地下迷宮を探検≫
豊かな恵みをもらたす雨は、地下に迷路のような地底世界を生みました。
緑のジャングルにぽっかりと黒い巨大な口を開けています。
全長300kmにも及ぶ鍾乳洞が網の目状に張り巡らされているのだそうです。
流れ落ちる滝を浮き彫りにしたようなラングケーブです。
天井に張り付いた無数のツチボタル(ヒカリキノコバエの幼虫)は、上から納豆の糸のような透明な糸を垂らしていて、それが風にそよいでいます。
このネバネバした糸を使って餌の虫を捕らえるのだそうです。
川沿いにあるさらに巨大な洞窟を目指します。
熱帯雨林に覆いつくされた山岳地帯、そこに道はなく、ボートに乗り込んで密林を縫うように流れる川を上流へと遡りました。
森の中には地下への黒い入り口がいくつも空いています。
絶えず強い風が吹き抜けるウインドケーブです。
天井や壁から滴り落ちてくる水に含まれている石灰分が鍾乳石を作り出します。
別の洞窟に入ると、クリアウォーターケーブには地底を勢いよく流れる水音がこだましています。
地下河川です。
澄んだ水底には大きなナマズが棲んでいました。
この洞窟を作ったのも雨です。
石灰岩の山地に降った雨が岩の割れ目から染み込んで、地下に無数の水路を作りました。
その水路の流れが石灰岩を浸食し(溶かし続けて)、世界最大級の地下空間へと成長したのだそうです。
現在分かっている洞窟は総延長300kmもあり、グヌンムルの森の地下で網の目状に繋がっています。
≪先住民プナン族の村≫
国立公園に近い場所にある村では、女性が笛で素朴な音色の軽快なメロディを奏でています。
ただの笛に見えますが、よく見ると口ではなく鼻で笛を吹いています。
これはその名も鼻笛と呼ばれるそうです。
狩りに出掛けた夫の帰りを待ちながら夫人たちが吹いたのが始まりといいます。
市場では1本50円ほどで売られている鼻笛。
竹でできています。
音の高さを変えるための指穴は合計3つあり、先端に空いた1つ穴を片方の鼻の穴に近づけて息を吹き込み、鼻息を微妙に加減しながら奏でます。
なぜ鼻で吹くのか?諸説あるそうですが、真相は謎のままだそうです。
≪謎のコウモリ洞窟≫
夕暮れが近づくと大勢の観光客が洞窟の前に集まります。
空を見上げて待ち構える人々の頭上に、一斉に飛び立つコウモリの大群が姿を現しました。
その姿はまさに竜です。
ボルネオ島の深い森の地底世界には奇妙な動物たちが暮らしています。
20世紀半ばに発見された巨大なディアケーブは、天井の高さが120mもある天然の地下道です。
この広々とした天井はコウモリたちにとって格好のねぐらになっています。
白い鍾乳洞の岩肌を黒いシミのように固まって埋め尽くしているのがボルネオキクガシラコウモリの群れです。
コウモリは哺乳類で唯一、飛行能力を持ちますが、足で立つことができないため、一生の大半を逆さにぶら下がって暮らします。
洞窟の地面を黒く覆い尽くすほどの勢いで、うずたかく積もっているのはコウモリの大量のフンです。
かつて、このコウモリたちのフンに含まれるミネラルを求めて、多くのシカたちがこの洞窟へとやってきたそうで、そのためディアケーブ(シカの洞窟)と呼ばれているのだそうです。
フンには暗がりに生息するヒカリジムカデがいました。
危険が迫ると敵を欺くために蛍光色に光る残像を残し、その隙に逃げます。
生まれたばかりのコウモリの赤ちゃんが天井から床に落ちてしまいました。
まだ空を飛ぶことはできません。
洞窟にはこのときを狙う天敵がいました。
ひっそりと岩の窪みに身を潜めたヘビ(スジオナメラ)が群れからはぐれたコウモリを待ち構えています。
空が暮れなずむ頃、コウモリたちが一斉に飛び立ちました。
その数なんと300万匹の大群です。
彼らは夜の森で小さな虫や果実を食べます。
ムル山の麓には彼らを養う豊かさがあるのです。
蛇のように細長く固まりながら集団飛行し、気流に乗ります。
群れで固まって飛ぶことで大きく見せて、敵の攻撃をかわします。
世界最古の森に横たわる巨大な洞窟から、次々と飛び立つコウモリの群れ、彼らが空に向かって立ち上っていく様子はまるで黒い煙のように見えます。
森から湧き上がり蛇のようにうねりながら天に昇っていくその様子は、見る者にまさに竜の姿を連想させます。
コウモリたちはうねるように宙を舞いながら、熱帯のジャングルへと消えていきます。
まるで雨をもたらす伝説の竜のように。
アクセス:マレーシア
グヌン・ムル 国立公園 (ムル山 国立公園)
Gunung Mulu National Park
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山の洞窟から森を目指して昇龍のように羽ばたくコウモリの大群はダイナミックで壮観でした。
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マリオット・インターナショナル 初となる、熱帯雨林のリゾートホテル ムル・マリオット・リゾート(Mulu Marriott Resort & Spa)がオープン
マリオット・インターナショナル(本社:米国メリーランド州ベゼスダ、以下マリオット)は、初の熱帯雨林に位置するリゾートホテル ムル・マリオット・リゾート を、マレーシア サラワク州北部のムルにオープンしました。「マリオット」ブランドとしてはボルネオ島で2軒目、マリオット傘下のホテルとしてはマレーシアで8軒目となります。(Sungai Melinau, PO Box 1145 Mulu 98008 Malaysia)
ムルは世界でも手つかずの熱帯雨林や洞窟のある自然に恵まれた場所として有名で、特に ムル・マリオット・リゾートに近接する グヌン・ムル国立公園は、マレーシア国内に存在する4つのユネスコ 世界遺産のうちの一つです。そのような場所に位置する ムル・マリオット・リゾート は、「マリオット・モダン」というデザイン哲学のもと、20年前に建設された Royal Mulu Resort をリノベーションしてオープンしました。そのデザインは、ロングハウスと呼ばれる現地の人々が暮らす伝統的な長屋からヒントを得ており、それぞれの客室は木のぬくもりを感じられる歩道でつながれています。メリナウ川岸の息を飲むような自然の美しさの中に位置し、お客様はローカルな体験、つまり熱帯雨林の自然を滞在の中で体験することができます。
全ての客室にはプライベートバルコニーがあり、美しい メリナウ川の景色または熱帯雨林の緑を臨むことができます。バスルームには「THANN」のアメニティを用い、5つ星評価を得ているマンダラ・スパも用意され、ゲストに安らぎの時間を提供します。
レストランの選択肢も豊富にあり、「M-Café」では、プールサイドでローカルフードや世界料理を堪能できるほか、メリナウ川を臨む「River Bar」では、広々としたラウンジでゆっくりと自慢のカクテルの数々を楽しむことができます。
リノベーションに際し、マリオット・ホテルを体現するグレートルーム・ロビーも導入しています。様々なサイズのソファやテーブルを備え、ビジネスであれば短時間のミーティングに、レジャーであれば仲間と食事のひとときを楽しむのに最適な空間を、目的に合わせアレンジすることができます。レジャーのみならずビジネスでの利用も意図しており、ビジネスセンターやボールルームなど、ミーティングや会議など各種イベントにも最適な環境を用意しています。
マリオット マーケット(オーストラリア、インドネシア、マレーシア、シンガポール)バイスプレジデントのロバ―ト・スターク氏 は次のように述べています。「ムル・マリオット・リゾートは、マリオットのブランドポートフォリオに新たな選択肢を加えると共に、マリオット・ホテルの目指す『Travel Brilliantly(鮮やかに旅する)』を体現するものです。熱帯雨林の中に存在する ムル・マリオット・リゾートは唯一無二と言っても過言ではく、またホテル業界の成長の可能性を秘める場所であると言えます。ムル・マリオット・リゾートでは、日々の忙しさから自分を開放し、心行くまでリフレッシュができる新たなリゾート体験のスタンダードをお客様に提供します。」
■ホテル詳細は、次のURLもご覧ください。http://www.marriott.co.jp/hotels/travel/myymu-mulu-marriott-resort-and-spa/
【マリオット・ホテルについて】
マリオット・インターナショナルの名前を冠したフラッグシップホテルである「マリオット・ホテル」は、世界約60か国で500軒のホテルを展開しています。マリオット・ホテルは、モバイルを手に世界中を飛び回り、仕事も遊びも同時に楽しむ次世代の旅行者のために進化し、「Travel Brilliantly(鮮やかに旅する)」を実現します。
■「グレートルーム」ロビー
「ロビーは単なる通過するスペース」という従来の概念を覆し、快適でくつろげる、洗練された空間に進化させました。仕事も、カジュアルなミーティングも、リラックスもできる共有の場として、マリオット・ホテルの中心に位置付けています。
■「フューチャー・オブ・ミーティング」
会議室にいながら専用アプリから様々なリクエストを出せるなど、会議運営をスムーズにする新しい工夫がちりばめられたシステムです。
■「モバイル・ゲスト・サービス」
専用アプリのチャット機能を使って、各種サービスやアメニティー等を、手軽にスピーディーにリクエストできます。
マリオット・ホテルの最新情報はFacebook(Facebook.com/Marriott)、Twitter(Twittter.com/Marriott, @Marriott)で英語で発信しているほか、日本語のプレスルームでもご覧いただけます。(http://www.mynewsdesk.com/jp/marriott-international)
【マリオット・インターナショナルについて】
マリオット・インターナショナルは米国メリーランド州ベセスダに本社を置く、グローバルホテル企業です。世界79の国と地域で、計19 ブランドのホテルやタイムシェア・リゾートなど4,100軒以上の宿泊施設を展開・運営しています。2014年度の収益は約140億USドルに達し 、卓越した倫理観と従業員満足度の高い企業としても広く認知されています。詳細はマリオット・インターナショナルのホームページ(http://www.marriott.co.jp)、もしくはプレスセンター(http://www.marriottnewscenter.com)をご参照下さい。
カレッジ講座〈27後期〉No.5
ボルネオの森に植物を尋ねて
ボルネオの森はまさに緑と水にめぐまれた環境であり、地球上で最も多種多様な生物がひしめきあって暮らす土地です。いま、その森は「地球に優しい」ヤシ油の生産のため急速に失われつつありますが、手つかずに近い状態で残された森の中には、未知の種類が数多く暮らしています。現地での調査探索の様子と、そこで発見される数々の新種について紹介します。
※本講座は造園CPD講座です。
開講日: 2016年2月10日(水) 10時~12時
申込締切: 講座日の1週間前まで(定員になり次第締切)
(http://www.tokyo-park.or.jp/college/2015/09/2721050.html)