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カルタヘナ(コロンビア)
2013年2月3日放送「THE 世界遺産」は、「難攻不落!カリブの要塞都市 ~ カルタヘナの港と要塞(コロンビア)」でした。
カリブ海に面した要塞都市カルタヘナは南米コロンビアのリゾート地です。
常夏のビーチには陽気な音楽が流れます。
獲れたての魚介料理が並ぶレストランが、カリブの海賊さえもが怖れた要塞の中にあります。
南米にはエメラルドをはじめ財宝がありました。
16世紀の大航海時代、大西洋を渡ってやって来たスペインは、これらの財宝を手に入れることになります。
敵が攻めづらい入り組んだ海岸線を持つカルタヘナの港は、新大陸から本国に向けて物資を送り出すための一大貿易拠点となっていました。
金、銀、カカオ、タバコ、香辛料など南米の産物は全てカルタヘナに集められたのです。
迷路のような細い通路が入り組み、難攻不落と謳われ高い防衛力を誇ったサン・フェリペ要塞(スペイン帝国)は、かつて2万のイギリス軍の侵攻を6000の兵士で撃退したそうです。
200年の歳月をかけて築かれた鉄壁の要塞は、財宝を奪おうと企む海賊たちを幾度も撃退しました。
南スペインを彷彿とさせるような白壁造り、通りに面して張り出した2階のバルコニーを持つ建物は、かつて貿易商たちが暮らしていた邸宅です。
カリブ海は地中海に似て温暖な気候であり、故郷アンダルシアの建築様式がそのまま持ち込まれた街並みが広がっています。
サン・ペドロ・クラベール大聖堂の柱は、カリブ海から切り出された高価な珊瑚の化石で作られているそうです。
丘の上に建つポパ修道院の礼拝堂には黄金で彩られた祭壇があります。
聖母カンデラリアの金冠にはエメラルドが飾られています。
アンデス山脈には金やエメラルドなどの鉱脈が多くあるそうで、先住民族たちはこれらの財宝を使用した美しい装飾品で儀式を行ってきましたが、そのほとんどがスペインによって略奪されたといわれます。
コロンビア産のエメラルドは高級で、世界の貿易の中心となっているのだそうです。
コロンビアの首都ボゴタでは、なにやらポケットから紙包みを取り出す人だかりが目に付きます。
これは日常風景として、仲買人たちが集まって路上でエメラルドの取引をしているところです。
目利きに自信があれば素人でも買うことができるそうです。
港全体が巨大な防衛システムを備えていたカルタヘナでは、海賊の襲撃に備えて、総延長4キロにも及ぶ高い城壁で街を囲み、要塞を配置していました。
まず港に至るための2つの航行ルートの内、手前側のルートの海底に大量の石を沈めて浅瀬に変えてしまい、水中堤防を築くことで、大きな船が航行できるルートを外側の1点に絞りました。
そのルートを監視するサン・フェルナンド要塞には、周囲を見渡すのに効率的な円形の砦が備えられていて、兵士が寝起きをしながら絶えず警備を続けられるような小部屋が何個もあります。
また、海上に鎖を渡して、対岸との間を封鎖するように繋いだそうです。
更に、もしも敵がそれらを突破して湾内に侵入して来た場合、迎え撃つのがひときわ堅牢で二度と生きては帰さない、サン・フェリペ要塞でした。
要塞の砦を覆う分厚い壁は垂直ではなく斜めに傾きが付けられ、見るからにどっしりとした台形状で、大砲の直撃を受けても衝撃を和らげる造りになっています。
要塞内部には、敵を攪乱する仕掛けとして、トンネルのような細い通路が縦横に走っています。
途中には行き止まりの罠もあり、明かりのない深い闇の中で、このような窪みに兵士たちが待ち伏せしたうえで、剣や銃で侵入した敵を攻撃したそうです。
最上階に続く通路は入り口からは目の前のトンネルの先に階段が見えるだけですが、階段の上側からは侵入者の姿が丸見えできる造りになっていて、不意打ちができたそうです。
港町の華やぎの裏に横たわる負の遺産
要塞建設の労働力として使われたのはアフリカから連れてこられた黒人奴隷で、セネガルのゴレ島はかつて奴隷たちの積み出し基地でした。
その総数は30万人ともいわれる奴隷は、奴隷船の船底には身動きが取れないほどいっぱいに積み込められ、新大陸に売られていったそうです。
内陸へ60分のパレンケ・デ・サン・バシリオ村は、かつて黒人奴隷社会に反旗を翻し自由を求めて森に逃れた黒人たちが作り上げたコミュニティです。
七面鳥を真似た求愛のダンスなど、外界から閉ざされ、守られてきた彼らの独自の文化は、ユネスコの世界無形遺産に登録されています。
堅固な城壁に守られた街には、特産のマンゴーをさばく華やかな衣装の果物売りの姿があります。
南米最大の要塞であるカルタヘナの白壁の街並みには、空前の富を手に入れた豪商たちのかつての邸宅が軒を連ねています。
黒人奴隷によって巨万の富を我が物にした豪商たちの夢の跡です。
スペインへの積み出し港としての栄華は、高価な珊瑚の化石でできた門柱や、身分や財力によって数が決められていた彼ら自慢の扉の装飾に残ります。
豪邸カーサ・ペスタグアには、馬車に乗ったまま中に入れるように造られた大きな門があります。
邸宅は奥行きが深く、1階は積み荷の倉庫や奴隷たちの住居になっていたそうです。
サロンでは夜ごとパーティが開かれていたそうです。
ホテルとして使われている現在でも、300年前からの佇まいは変わっていません。
人の欲望がせめぎ合った港町、そこには今も昔もカリブの美しい風景が広がります。
アクセス:コロンビア共和国
カルタヘナの港と要塞
Port, Fortresses and Group of Monuments, Cartagena
(2013年2月10日は放送休止です)
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