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アラスカ・カナダの氷河
2012年11月18日放送「THE 世界遺産」は、「巨大化する驚異の氷河 ~ アラスカ・カナダの氷河地帯I」でした。
アラスカとカナダの国境地帯、太平洋沿岸に連なっている4つの自然公園が、世界遺産(Kluane/Wrangell-St Elias/Glacier Bay/Tatshenshini-Alsek)に登録されています。
この4つの自然公園の総面積は、東京ドーム約200万個分に相当する10万平方キロメートルにも及ぶそうです。
このエリアは、5000メートル級の高い山々と、380もの氷河が広がっている巨大な氷河地帯です。
海から吹き付けてくる湿った風が、高い山にぶつかって大量の雪を降らすと、降り積もった雪が氷に変わっていきます。
それが厚さ1000メートルもの氷になります。
氷河とは、氷の塊が山の斜面に沿って流れている、まさに「氷の川」であり、硬い氷が山肌を削りながら徐々に海へと前進していきます。
ランゲル=セント・イライアス国立公園のルート氷河では、短い夏場だけ水の音が響きます。
氷河の表面を溶けた水が合わさって沢を作っているのです。
その流れは、氷河に開いた地下への深い穴の中に途中で消えていきます。
ロープで氷の壁を下りると、40メートル程で狭くなり進めないが、数100メートルも下の方(氷河の底)まで続いているのだといいます。
氷河の末端は砂や砂礫が広がった砂漠のような光景です。
そして氷河の底には、氷が溶けてできた空洞が、青く輝く洞窟として広がっていました。
神秘的なブルーに見えるのは、波長の短い光をより多く通すからだそうです。
洞窟に吹き込む風は、氷の表面に鱗のような模様の風紋を刻み込んでいます。
氷ができた時の、200年前の気泡が、氷の中には詰まっています。
地元ガイドさん達の集まりには、氷河を砕いて作った天然の氷で飲むウイスキーがありました。
氷河の氷で飲むオンザロックは喉ごしが滑らかで美味しいそうです。
雪解け水が溜まってできた氷河湖があります。
水の色は削り取った岩肌の細かい粒子が混じって乳白色に濁っています。
これは氷河のミルク(グレイシャー・ミルク(glacier milk))と呼ばれるそうです。
氷河を頂く高い山の麓に広がる森では、雪解け水が勢いよく流れています。
アラスカの川にはピンク・サーモンが産卵のために海から故郷を目指して遡上します。
ヒグマの仲間のグリズリーは、走る速さは時速50キロともいわれるほど俊敏にサケを追いかけています。
森の王者グリズリーは大きなもので体長2mを超えるそうです。
普段は木の実などを食べていますが、この季節は大好物のサケを多いときには1日に20匹も食べ、冬眠に備えるのだそうです。
食べ残しはやがて土に還り土壌を豊かにします。
おこぼれを狙うハクトウワシも姿を現します。
ムースなど多くの動物が生息する豊かな自然が広がっています。
ランゲル・セントイライアス国立公園では、川に遡上してきたサケを捕るため水車が設置されています。
夏場だけの機会として、地元の方だけに許された水車です。
獲れたサケの調理法は、すぐにさばいて身に塩をまぶし2週間乾燥させると出来上がりです。
毎年楽しみにしているそうで、ビールのお供に最高なんだそうです。
アラスカ湾では、海岸線に巨大な氷の壁が押し寄せて来ます。
山で生まれた氷河が流れ着く長い旅の終着地点です。
海からそそり立つ氷の断崖は、高さ60〜90メートルもあるそうです。
あたりに大きく乾いた音が響くのは、内部で氷が崩れている音で、海に向かって前進している証です。
そして氷河の壁はまるで雷のような轟音をとどろかせながら海中に砕け落ちていきます。
崩れた氷河が海中に浮かんで氷山を作っています。
ハバード氷河は、世界中で氷河の後退がニュースになる中で、今も巨大化を続けている氷河です。
カナダから国境を越えてアラスカの海に流れ込んでいきます。
その勢いは凄まじく、入り江にあった島をも飲み込んでしまいます。
1986年には対岸の陸地までつながって、長さ60キロ以上の氷の堤防を作り、そこに天然のダム湖ができたそうです(後に決壊)。
入り江の陸地が大量の雪を降らせるおかげで、ハバード氷河は現在も1年に30メートルも広がっているそうです。
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アクセス:
クルエーン国立公園(カナダ)
ランゲル=セント・イライアス国立公園(アメリカ国アラスカ州)
グレイシャー・ベイ国立公園(アメリカ国アラスカ州)
タッチェンシニー=アルセク公園(カナダ国ブリティッシュ・コロンビア州)
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